生き生きした空間    谷川俊太郎(詩人)
   大阪文学学校は、自前の空間を死守しているのが偉い。具体的な場があれば、人はおのずから寄ってくる。人の知恵と労力で場はいかようにも変容する、学校にも、芝居小屋にも、画廊にも、映画館にも、ビアホールにも、マーケットにも、寄席にも、公園にも。  見ず知らずの人間同士がつかのま共生する文字通りのライブ・ハウス、家庭とも会社ともちがう生き生きした家。その家は目に見える場であるとともに、目に見えぬ魂のすみかだ。文学を本と雑誌だけに閉じこめておくのはもったいない――文校の人と歴史と空間に、私はすっかりはげまされてしまった。
   
 出会い          田辺聖子(作家)
   文学学校を`経験aした私、いちばんすてきな経験は、〈出会い〉でした。それまでの自分の成育歴や、人生の円周にいなかった個性、発想、知見、学殖……に出会い、快いショックを受けました。
q出会い〉はまた、己のなかへ深く還ることでもあります。自分の裡にあるものと、めぐりあうこと。出口を見つけられず不完全燃焼している自分の才能や、チャンスに出会うことでもあるのです。人生の契機、たのしく拾いあつめて下さい。
【たなべせいこさん・略歴】
1928(昭和3)年大阪市生まれ。樟蔭女子専門学校卒業後、大阪文学学校本科4期(56年5月)および研究科1期(57年11月)卒。64年「感 傷 旅 行」で第50回芥川賞。その後、女流文学賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞、泉鏡花文学賞など受賞。00年文化功労者に選ばれる。04年5月『田辺聖子全集』(全24巻別巻1)集英社から刊行開始。