講師紹介小原 政幸こはら まさゆき

  • 担当クラス:
    小説クラス
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Profileプロフィール

1952年生。89年秋期から三年半、夜間部小説クラス在籍。93年春期以降、事務局常勤。〈樹林〉に小説「西成区山王の夏」、「大喪の縁切り」、「淀む竜田川」を発表。『いま、文学の森へ─大阪文学学校の五〇年』(葦書房)に、94年~03年の動向を執筆。大阪文学学校事務局長。大阪文学協会理事。

Messageメッセージ

ある時、ぼくの担当しているクラスゼミにおいて、後々まで忘れ得ぬであろうシーンが現出した。クラス員皆の合評が一通りすんで、〈作者弁明タイム〉のとき、当人がしくしくとしゃくりはじめたのだ。一瞬、そんなに酷評が飛びかっていたかなァと頭を巡らした。途切れがちの話を聞いていると、今まで彼女の心の底に貯め込まれ、わだかまっていたものを洗いざらい吐き出すことができて、清々とした零れ涙であることが分かってきた。家族にも友人知己にも話したことのない最大のわだかまりを、フィクションを交えながら作品化することで、作者自身が救われたのだった。
小説を書くとは、こういうことでもあるのだと思う。