小野十三郎賞 決定!

 第25回小野十三郎賞は、9月22日(金)13時開催のオンラインを併用した最終選考会において、下記のように決まりました。選考委員は、詩集部門(坪内稔典、細見和之、三井喬子、犬飼愛生)、詩評論書部門(添田馨、葉山郁生、冨上芳秀)の七氏です。
 今回、選考対象としたのは、7月10日締め切りまでに全国各地から応募のあった詩集115冊、詩評論書9冊でした。
 
 

《第25回小野十三郎賞》

■詩集部門(賞金30万円)
『水差しの水』(編集工房ノア 刊) 江口節/神戸市


■詩評論書部門 特別奨励賞(賞金10万円)/本賞該当作なし
『伊東静雄―戦時下の抒情』(土曜美術社出版販売 刊) 青木由弥子/東京都

――授賞理由――
【詩集部門】江口節さんの『水差しの水』は、日常語、ふだんの言葉をゆたかな詩語として一貫して用いていること、詩集一冊のなかに長篇小説のようなたっぷりとした時間が流れていることが高く評価された。また、厳しい現実を背景としながらも、ときにユーモラスな表現が見られることも注目された。
【詩評論書部門】今回は本賞の該当作はなく、特別奨励賞として青木由弥子さんの『伊東静雄―戦時下の抒情』が選ばれた。伊東詩集の読解と戦時下の抒情を論じた詩評論書。彼の戦争詩と戦争責任論を含めて、さらに大きい詩史的再評価を期待したい。

――第25回小野十三郎賞の最終候補――
■詩集部門(受付順・12点)
『湖へ』姜湖宙(書肆ブン)
『方向性詩篇』大谷良太(編集室水平線)
『水差しの水』江口節(編集工房ノア)
『紙魚る家』川上明日夫(山吹文庫)
『ウムル アネ ケグリの十二月』立木勲(書肆子午線)
『聖域(サンクチュアリ)』朽葉充(澪標)
『SUPREME has come』橘上(いぬのせなか座)
『倉庫の明かり』中島隆志(紫陽社)
『たんぽぽ』岩佐なを(思潮社)
『パラレルワールドのようなもの』文月悠光(思潮社)
『夢にも思わなかった』佐野豊(七月堂)
『どきんどきん』うめのしとみ(詩遊社)
■詩評論書部門(受付順・3点)
『前衛短歌論 新攷』江田浩司(現代短歌社)
『長谷川龍生の詩とその歩み探究』前川整洋(図書新聞)
『伊東静雄―戦時下の抒情』青木由弥子(土曜美術社出版販売)

 贈呈式は、きたる11月25日(土)午後1時半より大阪市北区中之島フェスティバルタワー12階「アサコムホール」において行います。

[主催]一般社団法人大阪文学協会〈小野十三郎賞実行委員会〉
[共催]朝日新聞社
[後援]大阪府/大阪市/桃谷容子基金/澪標

過去の受賞者一覧
第1回受賞
小野十三郎賞
詩集『墓を数えた日』 瀧 克則(大阪府)
小野十三郎賞記念特別賞
詩誌『核』(北海道)/詩誌『三重詩人』(三重県)
第2回受賞
小野十三郎賞
詩集『言葉の河』 高橋 秀明(北海道)
第3回受賞
小野十三郎賞
詩集『夕方村』 八重洋一郎(沖縄県)
詩評論書『詩論の現在Ⅰ~Ⅲ』 北川 透(山口県)
第4回受賞
小野十三郎賞
詩集『陣場金次郎洋品店の夏』 甲田 四郎(東京都)
小野十三郎賞特別賞
詩評論書『マンデリシュターム読本』 中平 耀(神奈川県)
第5回受賞
小野十三郎賞
詩集『バース』 苗村 吉昭(滋賀県)
小野十三郎賞特別賞
詩評論書『戦後関西詩壇回想』 杉山 平一(兵庫県)
第6回受賞
小野十三郎賞
詩集『朝鮮鮒』 渋谷 卓男(神奈川県)
第7回受賞
小野十三郎賞
詩集『語族』 添田 馨(埼玉県)
第8回受賞
小野十三郎賞
詩集『学校』 たかとう匡子(兵庫県)
第9回受賞
小野十三郎賞
詩集『影たちの墓碑銘』 長津功三良(山口県)
詩集『宙家族』  中岡 淳一(大阪府)
小野十三郎賞特別賞
詩評論書『栗生楽泉園の詩人たち』 久保田穣(群馬県)
第10回受賞
小野十三郎賞
詩集『ババ、バサラ、サラバ』 小池 昌代(東京都)
詩集『ナナカマドの歌』 田中 郁子(岡山県)
小野十三郎賞記念特別賞
詩評論書『評伝 パウル・ツェラン』 関口 裕昭(愛知県)
第11回受賞
小野十三郎賞
該当作なし
小野十三郎賞特別奨励賞
詩集『象牙の塔の人々』 山口 春樹(大阪府)
詩集『野川』 岡島 弘子(東京都)
第12回受賞
小野十三郎賞
詩集『青天の向こうがわ』 三井喬子(石川県)
小野十三郎賞特別賞
詩評論書『山上の蜘蛛』 季村敏夫(兵庫県)
第13回受賞
小野十三郎賞
詩集『水源地』 谷元益男(宮崎県)
第14回受賞
小野十三郎賞
詩集『真心を差し出されてその包装を開いてゆく処』 宋敏鎬(群馬県)
第15回受賞
小野十三郎賞
詩集『ワイドー沖縄』与那覇幹夫(沖縄県)
第16回受賞
小野十三郎賞
詩集『農場』杉谷昭人(宮崎県)
第17回受賞
小野十三郎賞
詩集『ツィゴイネルワイゼンの水邊』平林敏彦(神奈川県)
小野十三郎賞特別賞
詩集『地球にカットバン』宮内憲夫(京都府)
第18回受賞
小野十三郎賞
詩集『九月十九日』 森水陽一郎(千葉県)
小野十三郎賞特別賞
詩集『黎明のバケツ』平野晴子(愛知県)
第19回受賞
小野十三郎賞
詩集『賜物』金田久璋(福井県)
詩評論書『鮎川信夫、橋上の詩学』樋口良澄(神奈川県)
第20回受賞
小野十三郎賞
詩集『結晶体』吉田義昭(東京都)
詩集『シバテンのいた村』西岡寿美子(高知県)
第21回受賞
小野十三郎賞
〈詩集部門〉
『stork mark(ストークマーク)』犬飼愛生(愛知県)
〈詩評論書部門〉
『クリティカル=ライン 詩論・批評・超=批評』添田馨(埼玉県)
第22回受賞
小野十三郎賞
〈詩集部門〉
『悪い兄さん』今野和代(大阪府)
『賑やかな消滅』永澤幸治(富山県)
〈詩評論書部門〉
『終わりなき漱石』神山睦美(埼玉県)
第23回受賞
小野十三郎賞
〈詩集部門〉
『反暴力考』冨岡悦子(東京都)
〈詩評論書部門〉
該当作なし
小野十三郎賞特別賞
〈詩集部門〉
『しのばず』青木由弥子(東京都)
『名づけ得ぬ馬』颯木あやこ(神奈川県)
小野十三郎賞特別奨励賞
〈詩評論書部門〉
『詩人・木下夕爾』九里順子(宮城県)
第24回受賞
小野十三郎賞
〈詩集部門〉
『さざえ尻まで』新井啓子(群馬県)
〈詩評論書部門〉
該当作なし
小野十三郎賞特別奨励賞
〈詩評論書部門〉
『わたしたちのたいせつなあの島へ―菅原克己からの宿題―』宮内喜美子(東京都)