文章講座(夜)

担当講師:
津木林 洋(作家)
半年3回/月曜日開催
18:30〜20:30

小説における描写(Ⅰ)

在校生無料

津木林 洋(作家)

 この文章講座が始まるとき、小説は描写と説明の文章で作られていると書きましたが、それらがはっきりと区別されているわけではありません。読者の頭の中でイメージが立ち上がれば、説明でもいいのです。その曖昧さが描写を難しくしているのでしょう。
 今期から描写とは何かを一緒に学んでいきたいと思います。

スケジュール

5月15日(月)
 最初に取り上げるのは保坂和志の「東京画」(『この人の閾』に所収)です。主人公がそれまで住んでいた部屋の契約が切れるので別の場所に引っ越そうかと考えて、手頃な部屋を探し回るという話で、エッセイのような作品です。小説世界を作り上げるのではなく、東京という場所に住む主人公がイメージできるように書かれています。

 課題 自分の家の近所を歩いて、風景を描写して下さい。
6月26日(月)
 次は渋澤龍彦の『高丘親王航海記』です。実在の人物を主人公に借りていますが、描かれている世界は、ファンタジーともいえる架空の世界です。架空ですから、想像力を駆使して細部を書き込むことが必要になります。澁澤龍彦の遺作となったこの作品には死の影が漂っていますが、決して重苦しくなることはなく、逆に開放された気持ちになるのが面白いところです。

 課題 架空の風景を描写して下さい。
9月4日(月)
 次は高瀬隼子の『おいしいごはんが食べられますように』です。職場における微妙な人間関係を「食べる」という視点から巧みに描いています。よくある光景も見方を変えると新鮮に映るということでしょう。動作や表情から人物を造型するというオーソドックスな描写を丁寧に紡いでいます。

 課題 職場の風景を描写して下さい。

備考
⦿課題が浮かばない方は、自由に書いていただいても構いません。
⦿課題作は当日、筆者に朗読してもらいます。ペンネーム可。
⦿課題、もしくは自由題のどちらかを本文800字以内で書き、講座のある9日前までに、大阪文学学校事務局(〒542-0012 大阪市中央区谷町7-2-2-305)へ送付してください。