文章講座(夜)

担当講師:
津木林 洋(作家)
半年3回/月曜日開催
18:30〜20:30

作品の冒頭を考える(Ⅰ)

在校生無料

津木林 洋(作家)

 この講座では、小説の文章――頭の中のイメージを言葉を通して読み手に伝える文章を扱います。イメージを伝えるのは主に描写の文章なので、それだけを扱えばいいようなものですが、描写に流れる時間はゆっくりなので早く進めたい場合は、説明の文章を使わなければなりません。説明はそればかりではなくて、描写が成立するための場面の設定、いわゆる文脈を作る作用もしています。
 小説はこの二種類の文章を組み合わせて作られています。
 今期は、様々な作品から冒頭部分を読み、いかにして作者が小説世界に読み手を引っ張り込もうとしているか、その工夫の跡を見ていきたいと思います。

スケジュール

11月15日(月)
 最初に取り上げるのは川端康成の『雪国』です。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」という余りにも有名な出だしです。最初の一文が説明で、二番目が描写というはっきりとした形になっています。

課題
・自分ならこの冒頭を次のように書き換えたい、として書く。
・『雪国』にとらわれず、説明して描写するという作品の冒頭を書く。
12月13日(月)
 次は谷崎潤一郎の『細雪』です。「こいさん、頼むわ。」という会話文から長大な作品に入っていきます。文章作法の本を読むと、いきなり会話で始めるのは避けた方がいいと教示しているものもあります。確かに場面設定も何もない状態で会話が出てきても、一体誰が誰に言っているのか分からないからですが、ここでは作品の主要人物である三人の姉妹の名前を一気に示すための工夫として使われています。

課題
・自分ならこの冒頭を次のように書き換えたい、として書く。
・『細雪』にとらわれず、会話から入るという作品の冒頭を書く。
2月7日(月)
 次は堀江敏幸の『イラクサの庭』(『雪沼とその周辺』に収録)。冒頭から描写が続いて、小説世界がはっきりとつかめないまま読み進むことになります。一段落が終わってから説明になり、ああ、そういうことかと納得することになります。

課題
・自分ならこの冒頭を次のように書き換えたい、として書く。
・『イラクサの庭』にとらわれず、描写で押していくという作品の冒頭を書く。

備考
⦿課題作は当日、筆者に朗読してもらいます。ペンネーム可。
⦿課題のうち、どちらかを本文800字以内で書き、講座のある9日前までに、大阪文学学校事務局(〒542-0012 大阪市中央区谷町7-2-2-305)へ送付してください。