講師紹介/冨上 芳秀とかみ よしひで
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- 担当科目:
- 本科・ 専科
- 担当部門:
- 通信教育部
- 担当クラス:
- 詩・エッセイクラス

Profileプロフィール
1948年生。『言葉遊びの猟場』など詩集十五冊。長編評論『安西冬衛』がある。文校、冨上クラス修了生と〈詩遊〉を編集発行。〈詩的現代〉に所属。日本現代詩人会会員。
《夜・詩の連続講座講師を兼任》
Messageメッセージ
スペースの関係で短い詩を紹介しておく。
「死との約束」
闇の中で白い太陽が鈍く輝いている町で、私は生活していた。私は何かの刑罰を受けて、その町に追放されていたのである。そんな生活がいつまで続くのか、私には見当もつかなかったが、ただ文学を研究することだけが、私の生きる慰めであった。古今東西の文学作品を紐解くうちに、私は様々な人物と出会い、彼らからたくさんのことを学んだ。その中で、最も私が親しんだのは、透きとおった白い肌を持つ美しい女であった。冷たい悲しい真実だけを静かに語る怜悧な女は、いつも私を熱く抱きしめて、深い眠りの世界に引きずり込んだ。その女が「死」であることは、私にはわかっていたが、私は、女を「詩」と呼ぶことで、死に対する自分の恐怖をわずかに回避することができた。私は、夜ごと女と激しくセックスをすることで「詩」を書くことができた。遠い詩の町で流刑生活を送っていた頃の話である。
(〈詩的現代〉39号より)