講師紹介冨上 芳秀とかみ よしひで

  • 担当科目:
    本科・ 専科
  • 担当部門:
    通信教育部
  • 担当クラス:
    詩・エッセイクラス
一覧に戻る

Profileプロフィール

1948年生。七十歳になったので、その記念に〈詩的現代〉に「ジジイの覗き眼鏡」というエッセイを連載することにした。現代の詩の問題、過去の知られざる詩人の名詩に光を当てたりする。勝手気ままにジジイを自覚したバックパッカー冨上芳秀が詩の世界を旅する。また、好奇心の赴く所あらゆるジャンルを覗き見る試みである。来年は念願の評論集『竹中郁論』と詩集『芭蕉の猿の面』を上梓しようと準備している。二〇一六年の詩集『蕪村との対話』とは全く別のスタイルである。詩集は『白豚の尻』など十三冊、他に評論集『安西冬衛』がある。文学学校のクラス修了生と季刊詩誌〈詩遊〉を編集発行している。

Messageメッセージ

最近、私が書いた詩を紹介しよう。
「穴の秘密」
チャペルは喋る。シャベルの秘密。シャベルが掘った深い穴。穴の中には何がある。穴の話はしてはいけない。穴には怖い秘密がある。チャペルでは今日も結婚式があげられる。キンコンカンコン鐘が鳴る。ともに老い、ともに一つの墓に入る偕老同穴の夫婦の契り。花嫁の穴、鼻の穴。人を呪わば穴二つ。チャペルの地下室に墓の穴、あなたの欲深い秘密の穴、チャペルの地下室の壁に立てかけられた一本のシャベル。ここほれ、ワンワン、ポチが鳴く。スコップにはないがシャベルにはある足を掛ける場所に、ぐっと力を入れて掘った。惚れた腫れたと大騒ぎ、骨まで愛して骨折れて、シャベルがしゃぶる骨が出た。その骨は海月のななりと骨をしゃぶる。シャベルは喋る。チャペルの秘密。チャペルに掘った深い穴。穴の中には何がある。穴の話はしてはいけない。穴には深い秘密がある。
(「gui」114号)