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【5月28日<日>PM4~6:20】東京から宮内勝典さん(作家)をお招きしての公開・特別講座に教室聴講36名(うち、一般・OB4名)。Zoom視聴は、文校チューター3名など18名。

半年に一度、東京などから著名な作家・詩人・文学関係者をお招きして、大阪文学学校で催す公開の特別講座。コロナ下のこの3年の間に、田口ランディさん(20年7月)、小川洋子さん(21年3月)、三浦しをんさん(21年9月)、堀江敏幸さん(22年2月)、大島真寿美さんと川田・「オール讀物」編集長(22年8月)、小山田浩子さん(23年2月)にゲストとして登場していただいていますが、小川さん・三浦さん・堀江さんはZoom出演のかたちでした。
22年8月・23年2月に引き続き今回(5/28)も、東京から宮内勝典さんを文校教室に直にお招きすることができました。

5月28日(日)午後4時、東京から新幹線で来られた宮内勝典さんをゲストに、公開・特別講座ははじまりました。演題は、「文学は必要か?」。文校の運営母体である大阪文学協会の葉山郁生・代表理事が、宮内さんの経歴や著作の紹介を交えながら、宮内さんの話を引き出していきました。
宮内さんの語り口は、会場に優しく語りかける調子でしたが、言葉そのものには力強いものがありました。
「人類のいちばん深い病気は、自己と他者を区別するアイデンティティにこだわっていること。そこから、戦争が引き起こされている。」
「アイデンティティを大きくして、世の中を変える。そういう小説を書いてきたつもりだし、これからも書きたい。」

会場との質疑応答のコーナーに移ってからは、統一教会のホームでタダ飯にありついていた青年時代のこと、オウム真理教批判のためにその教義と格闘したこと、9・11同時多発テロのとき大学生の反戦デモを組織したこと、などの話も披露された。さらには、作家の五木寛之や、60年安保当時の全学連書記長・島成郎<しげお>についても言及。
質問に立った7名のうち、5名が新入生などの在校生。

体調が万全ではなかったにもかかわらず、宮内さんの話は淀みがありませんでした。予定の2時間を過ぎ、東京から同伴の詩人・喜美子夫人(昨年度・第24回小野十三郎賞<詩評論書>部門の特別奨励賞を受賞)にもマイクを持ってもらいました。夫人と宮内さんの出会いは若い頃に夫人が新宿の路上で詩集を売っていたときだったとのこと、また一人息子の作家・宮内悠介さんと父である勝典さんとの関係など、興味深い話をされました。
最後に、始めから参加されていた細見和之・文校校長から、「宇宙のアイデンティティというスケールの大きな話に感銘を受け、ますます宮内作品を読みたくなりました」というあいさつがありました。

講座を終え、文校事務局で取り寄せていた宮内さんの新装版『ぼくは始祖鳥になりたい』(集英社文庫/600頁/1320円)の販売をおこないましたが、12冊が早々に完売。またサイン会には20名近い列ができました。

その後、午後7時前から約1時間半、文校近くの中華料理店において、宮内夫婦を囲む“懇親会”を持ちました。葉山代表理事、細見校長、中塚鞠子チューター、小原事務局長、昼間部生、通教部生、修了生、一般(埼玉から)で10名。

◆宮内勝典さんから後日いただいたメールは、「大阪文学学校での講演は楽しかったです。集まって下さった方々の真摯さが嬉しかったです。」と、結ばれていました。