●新入生全員へ「ハガキ一枚」課題●・・・◆作品発表・第2弾【昼間部・信永真知子さん/通教部・荒川光司さん】★5月31日(土)締切【できればメールで】
今春の新入生全員(63名)に提出をもとめている〈課題ハガキ〉の既着分の中から、《第2弾》として2人の作品を紹介します。今日までに、12名から届いています。
《第1弾》は、5/2文校ブログで、通教部・清野圭一さん<東京都>と昼間部・東加奈子さん<香川県>の作品を取りあげてあります。
提出作品は全て、8月発行の「文校ニュース」に載せ、文校の多くの皆さんの眼に触れられるようにします。
【小原】
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私の歩んできた道
信永真知子(昼・小説・大西クラス/教室・Zomm併用/東広島市/54歳)
物語は、特撮ヒーローの追っかけから始まる。まず夢中になったのは、ウルトラマンタロウ。
「目印を造れば、タロウが空から見つけてくれる」と思いつき、弟達を誘って近所の材木屋さんへ向かった。
倉庫前に並ぶ材木を抱えて遊び場に運び、ワイワイやりながら材木を積み重ねていく。
すると、意外にも簡単に“基地”が出来てしまった。
幼子一同、人生初の大作に沸き立ち、あとはタロウの到着を待つだけだったのだが、ほどなくして材木屋の店主に基地ごと発見されてしまい、私は両親に連れられ謝罪に行った。急激に温めた夢ほど、冷めやすいのかも知れない。
次に夢中になったのは、マジンガーZ。超合金玩具のマジンガーZを買ってもらった私は、ただ嬉しくて、一瞬たりとも超合金と離れたくなかった。
超合金をおんぶ紐で背負いながら、末弟の面倒をみた。夜は、超合金と並んで寝た。超合金肌は、寝返りを打つたび身体に当たって冷たかった。
隣で寝るなら、やはり人肌だと思った。
随分と時を経て、人肌に慣れ切った頃、職場で、ある記事を見つけた。〈木山捷平文学選奨に鷲見京子さん 短編小説賞〉元小学校教諭とある。
ひょっとして、小学3年の時の担任、鷲見先生だろうか。気になりつつも時間に追われる日が続き、記憶のどこかに記事を寝かしたまま更に数年が経った。
ある日、岡山に向かう新幹線の車内で、寝ていた記事が突然、目を覚ました。すぐさま担当部署に問い合わせ、文学選奨冊子を送ってもらい、受賞作を読んだ。間違いない、鷲見京子先生だ。懐かしさが込み上げた。先生は特撮ドラマ『コメットさん』のヒロインばりに、バトントワリングが上手かった。
先生が描いた漫画を見せてもらったこともある。日常からも夢を見つけることを教えてくれた憧れの師。
先生が、大阪文学学校で学んだと知った。少々出遅れたが、先生の後輩になりたいと、入学を決めた。物語は続くのである。
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文学学校入学にあたって
荒川光司(通・エッセイノンフィクション・菅野クラス/栃木市/68歳)
地元の新聞に掲載されていた大阪文学学校の記事、それを見たのが3月下旬。おもしろそう、でも遠いな、まだ自営で仕事をしてるし、栃木から通うのは無理だんべな、通信教育ならできるか? 資料を送っていただき、さっそく申し込む。
スクーリングで大阪へ行くこともおもしろそう。今まで大阪へは何度行っただろうか? 甲子園球場に一度、もちろん選手としてではない。近くの高校が夏の大会に出るので、その応援に行ったことがある。二度目は9年前の家族旅行で京都に行ったついでに、道頓堀でたこ焼きを食べた。
もともと大阪には興味があったようだ。本棚に「大阪人物辞典 三善貞司編 清文堂」が鎮座している。その分厚い本は25年前に買ったものだ。たまに、そのずっしりと重たいそいつをひっぱりだして、適当にページを開く。例えば、藤山寛美 喜劇俳優。その壮絶な役者人生の記述がすごい。大阪にはおもろい人がいるもんだ。関西弁の「おもろい」とは、「おもしろい」の真ん中の「し」の字をとっただけの言葉だ、単語的には。が、その意味や使い方のニュアンスは栃木県人の私にはわからないだろう。そこには、大阪の文化があるはずだ。それを知るために、入学したのかもしれない。そして、おもろいモノを書いてみたい。