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新入生42名(夜12、昼12、通教18)の皆さんへの「ハガキ一枚」課題、ぞくぞく届いています。◆作品発表・第1弾【通教部・池田りらさん/同・木蓮さん】

今秋の新入生42名の皆さんに、案内チラシ(11月13日文校ブログ参照)と所定の〈課題ハガキ〉を、11月中頃に手渡しないし郵送してあります。
ハガキのかわりに、メールで送っていただいたほうが助かります。締切は11月27日(土)必着とします。提出作品は全て、「文校ニュース」に載せ、文校の多くの皆さんの眼に触れられるようにします。

次に、既着分の中から、池田りらさん(大阪市/通教部・冨上クラス)と木蓮さん(札幌市/通教部・音谷クラス)の作品を紹介します。

        ☆      ☆
 文学学校入学にあたって   池田りら

 あぁ、私は今幸せだ。この幸せを何とか残せないものか。
 
 産もうか諦めるか、ずっと迷っていた三人目の赤ちゃんが、とうとう我が家にやって来た。寝不足、肩こり、腰痛は、正直勘弁願いたいが、ほわほわの赤子との生活はもうこれで最後だろう。
 第三子の育休中、何度も頭をよぎった思い、これが入学のきっかけです。新聞記事で見かけた大阪文学学校、調べてみると新入生を募集している! 初心者でも受け入れてもらえそう!! 後先考えずに申し込んだ一方、本は読む対象であって自分が書くという発想はなかった私。しかしこの幸せを残す方法を考えたとき、私にできることは書くこと、しかないじゃないか。
 社会人になって十数年が経つ。自分の考えを伝えることは苦手であり下手。そんな自分と向き合うのはイヤだけど、そんな自分を変えたいし、上手く言葉を紡げるようになって書くことが好きになれれば、仕事と育児で慌ただしく過ぎゆく生活の中で楽しみが増えるじゃないか。
 文学学校で揉まれるにあたって忘れたくないのは冒頭の想い。我が家に来てくれた息子たちへの感謝と愛をこめて、母は文学学校で修業します。

        ☆      ☆
 私だけのもの「硝子づくりのノート」  木蓮

 私には学生時代、「なんとなく一緒にいる友人」はいましたが、自分の心の奥底に眠る辛い気持ちを話せる人はいませんでした。上辺だけの友情で結ばれた彼女たちの話を聞き、作り笑顔で相槌ばかり打っていました。
 いつしか、私は嘘で固められた人間関係に嫌気が刺し、「消えて無くなりたい」という感情を持つようになりました。しかし、楽に死ねるわけはありません。自分を傷つける勇気のない私は、ある日、シャープペンの芯が「バキッ。バキッ」と次々に折れるのも気にせず、孤独で苦しい胸の内をノートに書き殴ることで、胸の中がスッと楽になっていくことを覚えました。これをきっかけに、ほぼ毎日、日記をつけるようになりました。
 しかし、高校卒業と同時に日記を綴ることがなくなりました。短大の授業とバイトで忙しくなり、自分の心を見つめ直す心の余裕がなくなったからです。
 ノートは二十三歳で一人暮らしをするときに処分してしまいました。ですが、捨てずに取って置けば良かったと後悔しています。あの思春期の繊細な気持ちは、もう二度と取り戻せないからです。あの頃の繊細な気持ちを綴ったノートは、まるで、それ自体が硝子づくりのようでした。人は誰一人として、同じ道は歩みません。ですから、あのノートは世界で私だけのものと言っても過言ではないでしょう。願わくは、あのノートを、もう一度読み返してみたいものです。