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第22回小野十三郎賞(詩集部門、詩評論書部門)きまる。

7月10日をもって締め切った第22回小野十三郎賞には、詩集122冊、詩評論書16冊が全国各地(北海道から沖縄まで)から応募がありました。前回(第21回)から詩集部門と詩評論書部門に分けて選考し、各々に正賞(副賞各30万円/今回、詩集部門はダブル受賞のため副賞は15万円ずつ)を設けています。予備選考委員は、高田文月、冨上芳秀、細見和之、中塚鞠子、山田兼士、川上明日夫の6人で、2回にわたる予備選考を行いました。

本日(9/25)午後1時から、共催をいただいている朝日新聞社の協力を得て大阪市内でリモート会議による選考会を実施し、最終選考委員(詩集部門 倉橋健一、小池昌代、坪内稔典/詩評論書部門 葉山郁生、細見和之、山田兼士 以上敬称略)の6人により最終候補、詩集12冊、詩評論書5冊についてほぼ2時間におよぶ討議の結果、以下のとおり決定いたしました。
  
【写真・左】詩評論書部門の選考の模様
【写真・右】詩部門の選考の模様

●《第22回小野十三郎賞》受賞●
〇詩集部門 『悪い兄さん』(思潮社) 今野 和代(こんの・かずよ)
〇詩集部門 『賑やかな消滅』(私家版) 永澤幸治(ながさわ・ゆきはる)
〇詩評論書部門 『終わりなき漱石』(幻戯書房) 神山 睦美(かみやま・むつみ)

今野さんの『悪い兄さん』は前衛性・社会性をもった言葉の熱量が高く評価され、永澤さんの『賑やかな消滅』は通常の言葉で新鮮でシャープな詩が刻みつけられている点が高く評価され、詩集部門は今回、ダブル受賞となりました。
神山さんの『終わりなき漱石』は千ページ以上の漱石論で、中でも、作家の「生成」を辿る冒頭部分と「再帰」を意味づける巻末部分に、すぐれた詩論的アプローチが見られ、全体として「漱石の詩学」が縦横に論じられており、日本近代文学を根底から再考すべき問題が提起されている点が高く評価されました。

例年、選考会のあとは大阪文学学校に場を移し、記者発表を行っていたのですが、さすがに今年はコロナの影響を考慮し、それは控えました。その代わり、各新聞社をはじめ報道機関に、受賞決定のFAXを流しました。
朝日新聞の明日(26日)の朝刊(社会面)をご覧ください。

来たる11月14日(土)に予定していた第22回小野賞贈呈式は、コロナ対策のため今年は規模を縮小し、大阪市北区の朝日新聞社内会議室において受賞者本人への賞の授与のみを行う予定です。

◆小野賞を主催しているのは、大阪文学学校の運営母体である一般社団法人・大阪文学協会(代表理事;葉山郁生)。小野十三郎さんは、大阪文学学校創立の1954年から91年まで校長を務め、96年10月に93歳で亡くなるまで名誉校長でした。

(小原)