藤岡陽子さん(小説家/大阪文学学校修了生)が特別審査員を務める「さばえ近松文学賞~恋話(KOIBANA)RETURNS 2」の締切(6月末)迫る!
●「さばえ近松文学賞」のHPより●
世界に誇る文豪・近松門左衛門が生まれ、多感な少年時代を過ごした福井県鯖江市。「近松作品の原点になったまち さばえ」が再び恋にまつわる短編小説を募集します。
[ 募集要項 ]
恋にまつわる短編小説。※男女の恋愛だけに限らない。400字詰め原稿用紙10枚まで。
小説の中に、最低1ヶ所は鯖江に関する歴史・文化・産業などを入れてください。
◆文校修了生の藤岡陽子さんについては、24年3月26日・文校ブログ参照。
(小原)
●新入生「ハガキ一枚」課題●・・・◆作品発表・第3弾【通教部・鴨居みこさん/通教部・田中風子さん/昼間部・司元<つかさ・はじめ>さん】★未提出の方、急いでください【できればメールで】。締切は5月31日(金)です。
今春の新入生59名全員に提出をもとめている〈課題ハガキ〉の既着分の中から、とりわけ印象的な作品を紹介する《第3弾》として、通教部2名、昼間部1名の作品を取り上げます。
すでに文校ブログに載せた《第1弾》は通教部・立花十子さん、同・鈴木悟さん、昼間部・廣瀬浩さんの作品(5/7文校ブログ)、《第2弾》は通教部・海本友子さん、夜間部・TAさんの作品(5/18文校ブログ)でした。
提出作品は全て、8月発行の「文校ニュース」に載せ、文校の多くの皆さんの眼に触れられるようにします。
課題のタイトル6つについては、4/27文校ブログ参照。
(小原)
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文学学校入学にあたって
鴨居みこ(通・小説・谷口クラス/長野県諏訪市/55歳)
私は根無し草です。子供時代は関東の四つの小学校と二つの中学校に通いました。その後も転居の多い人生です。
関西に住んだことはありませんが、両親は京都と大阪の生まれでした。同居の祖母との三人掛かりの関西弁を浴び、私は関西弁を喋る子供となりました。周囲との違いに気づいたのは、小学校低学年の頃です。「あかん、あかん!」なんて、誰も言わないのです。その後は、外では標準語を心がけました。
そんな私は大阪に勝手な親近感を抱き、スクーリングで皆様とお会いすることを楽しみにしていますが、心配もあります。オーストラリアに古い英語が、カナダに古いフランス語が残るように、言語というものは、その中心地では変化し続け、中心から離れた土地では古いスタイルが残るらしいのです。目の前のお相手に釣られて、標準語と古くて滑稽な関西弁とを行ったり来たりする残念な自分が目に浮かびます。また、家庭内で使われなかった単語のアクセントは、さっぱりわかりません。特に地名です。道頓堀とか天王寺とか、謎すぎます。
さて皆様。スクーリングの折に喋りの安定しない中年女がいたら、それは私です。よろしゅうおたの申します。
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文学学校入学にあたって
田中風子(通・詩エッセイ・冨上クラス/神奈川県茅ヶ崎市/79歳)
最近、自分の死について考えることが多くなった。年齢でもあるし友人や身近な人の訃報を続けて耳にするからかもしれない。
今まで多くの死に出会ってきた。死の訪れが本当に様々であり一人として同じ死はなかったように思う。人生という海を何とか渡り切って岸辺にたどり着いた人にとっては多少は納得できるものであろうか。けれども理不尽に航海の途中で船を降りる人にとっては辛いものであるに違いない。
三年前、この町で七十六歳の夫が妻にのこぎりで首をひき殺されるという事件があった。結婚してからずっと、夫の虐待に耐えていた、妻の心が壊れた末の犯行だったようだ。判決は懲役八年、執行猶予はつかなかった。人を殺すのが絶対悪であっても、その前に妻のすべてが拒否され、人間としての心が壊れている者に人間の立場で罰を下す。私にはなにも言えないがそこは神の領域ではないのかと思ってしまった。裁判長は男性であった。その女性は長い抑圧に耐えた末、また八年もの懲役生活を生き延びることが出来るのか、胸が痛かった。死ぬこと位は平等であってほしいと思うものの、死は生の続きであるのだからそうもいかない。
文学学校に入ろうかと迷っているとき息子が言った。「人生は一回きりだぞ、思い切ってやりなよ」と。無茶を承知で飛び込んだ。後悔のない人生を送りたい、だがそんなものはないと思っている自分もいる。その先にどんな死があるかわからないが、今はそれだけを目指している。
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最近強く思うこと 《パレスチナの残酷をなくせ》
司 元(昼・小説・佐伯クラス/大阪市/63歳)
昨年十月にパレスチナのハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛け、千人以上のイスラエル人を殺し、数百人の人質を取りました。その報復にイスラエルはパレスチナ・ガザに侵攻、すでに子ども、女性を含め三万五千人以上のパレスチナ人を殺しました。ハマスはイスラエルがヨルダン川西岸で不法な入植を続け、意にそわないパレスチナ人を殺し、何千人も拘束している。天井の無い牢獄と呼ばれるガザも数十年にわたって封鎖されている。世界の関心が及ばない中、自らの手による正義の攻撃だと主張します。イスラエルはハマスがいる限りイスラエルの安全は保障されない。ハマスを根絶やしにするための自衛の報復だと正義を称えます。
どちらの正義が正しいかを争っても平行線をたどるだけです。ましてや「正義の殺人」はありません。今はお互いの正義を横に置き残酷を止めましょう。「子どもを殺すな。虐殺するな。民間人を楯にするな」。まずイスラエルは攻撃を止めガザから撤退しよう。ハマスはイスラエルの民間人人質を釈放しよう。『今起きている残酷を止める』、そこからです。歴史を振り返る、未来を語る、正義を求めることも、「残酷」を止めてからしましょう。
梅田、京橋、堺でイスラエルのガザ攻撃中止を求めるスタンディングが行われています。ご参加ご希望の方は司元までご連絡ください。
4/28文校に来ていただいた吉増剛造さんが、東京虎ノ門で“吉増剛造展「ネノネ」”を開催中!6月1日(土)まで。
“吉増剛造展「ネノネ」”についての詳細は、次の公式サイトをご覧ください。
https://signing.co.jp/signal/
◆吉増剛造さんをお招きし大阪文学学校で催した4/28特別講座については、4月30日・文校ブログを参照。教室聴講94名、Zoom視聴19名の参加がありました。
(小原)
春期58人目の新入生。オンラインでいきなり「入学申込書」がとどく。68歳男性が、昼間部・小説・佐伯クラス(火)へ。◆いつでも昼・夜間部のクラスゼミを見学OK。今日は、昼間1人、夜間1名の見学あり。
電話やメールによる事前の問い合わせがないままに、19日(日)、神戸市の68歳男性からオンラインで「入学申込書」がとどいていました。20日(月)、電話をしましたが通じないので、「学期が始まってしばらく経っていますので、学費は1万〇千円引きで結構です」とメールしました。すると今日(火)には、ネットバンキングで指定の学費が振り込まれていました。ありがとうございます。
◎入学のきっかけや書きたいテーマなど =
【しばらく前から…この10年ほどですか、わたしは、論文ではなく、小説の形で何かできないかと思い、一時期練習もしておりましたが、そのうち、なぜこんなことをするのか、自分でも、わからなくなってしまいました。とくに小説が好きでもなく、言いたいことは一般的な散文にのせるだけのこと、それをなぜ、わざわざ妄想に浸って、細かな描写をあたえ、物語を紡ぎだしているのか…と。結局、美的世界へのあこがれとは裏腹に、だんだんと創作からは遠ざかるようになり、文学とは何か…文学の機能とは…と呟きながら、文学を〈勉強〉する、あるいは、文学であそぶ、日々をおくるに至ったのでございます。
そんな折、木ノ下歌舞伎の木ノ下裕一が、江戸文学にかんする公開講義をおこない、わたしは、その、座付作家たちの創作術や、木ノ下自身の舞台制作のノウハウを聴きながら、次第に、文学とは何か、というようなことが、あまり気にならなくなっている、そんな気がしたのです。
どのような形式であれ、書くことは、しんどいので、このままでは、何も起こりそうにありません。しかし、それでは、どうにもつまらない。そして、真摯で迷いのない文学人に、わたしは、たしかに、風を感じた。だから、文学を話し、聴く、機会を求めることは、戦略的に有効だろう、以上のように考えたことが、今回入学を求めるきっかけです。】
◎影響を受けた作品・作家・詩人名 =
【一般的には、サルトル、廣松渉、フーコー、ソーシャルワークの考え方。
好きな文学は、チェーホフ、究極の理想は神西訳「かわいい女」、他方「大学生」等多数。山本周五郎、「橋の下」等多数。池田健太郎訳ドストエフスキー、シーンの迫力。川端康成の数編、「雪国」「水月」の艶やかさ。カズオイシグロ。】
◎募集を何で知りましたか =
【大阪文学学校の存在は、昔から知っていた、カモカのおっちゃん、好きでしたし…募集については、ネットで調べた。】
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◆大阪文学学校に関心のある方、入学を検討されている方は、いつでも昼・夜間部のクラスゼミを見学できます。新入生(本科)クラスは、どの曜日のどの時間帯にやっているのか、文校HPのトップページでご確認ください。
メールでも電話でも、事務局までご連絡いただければ、見学予定の日に合評するクラス生作品をお届けします。
また、6月23日(日)に行われる通教部スクーリングも見学できます。
(小原)
『樹林』6月号(在校生作品特集/通巻703)が仕上がってきました。◆5月号(本誌・春期号)は来週初めに納品予定。
大阪文学学校学生委員会が編集する『樹林』6月(在校生作品特集)号が昨日(月)の昼、仕上がってきました。早速、通教部生(136名)、通教部チューター(12名)、休学生(91名)、定期購読者(37名)の皆さんへ郵送しました。また、出版社・新聞社・図書館・文学館等にも寄贈しました。元チューターなど文校関係者、お世話になっている各地の作家・詩人の方へは、来週28日(火)に仕上がってくる予定の『樹林』5月号(本誌・春期号)といっしょに6月・在特号をお届けします。
昼・夜間部のうち文校教室で組会(ゼミ)をおこなっているクラスは、教室の机の上から6月・在特号を一冊ずつ持ち帰ってください。組会にZoomで参加している皆さんには順次、郵送することにします。
◆『樹林』6月・在特号の送付に際し、通教部生には次のものを同封しました。
①6/9学生委員会主催の6月・在特号合評会の案内チラシ ②次回の『樹林』24年11月・在特号の「掲載作品および選考委員募集のお知らせ(応募用紙付き)」チラシ ③『樹林』11月・在特号の「選考委員大募集」チラシ の計3点。
休学生へは、①と②の一部を同封してあります。
◆『樹林』在特号は、文校の学生たちの手によって、作品の募集から、選考、編集、合評会までおこなわれ、『樹林』の1冊として年2回発行されています。
今回の6月号には、詩6編、エッセイ3編、小説6編の在校生作品が収められています。各選考委員の選考評なども含めて総178ページ。
◆オモテ表紙のイラストは、谷良一さん(夜間部研究科・休学中)、ウラ表紙のそれは見峠りつ子さん(3月に昼間部研究科修了)。編集後記は、23年秋期在特号キャップの林隆司さん(夜・大西クラス)ら4名が執筆。
◆6月9日(日)正午から文校教室でおこなわれる学生委員会主催の6月・在特号合評会には、掲載作者、選考委員はむろんのこと、在校生や新入生、休学生も気軽に参加してほしいとのことです。
(小原)