大阪文学学校19年生の藤田友房さん(79歳)が、待望の短編小説集<濃州ものがたり>を刊行!
藤田友房さん(本名;大野久嘉)は、岐阜県生まれで横浜市在住。大阪文学学校とは20年前、当時の大阪文学協会代表理事・高畠寛さんが日本経済新聞に書いた文校創立50周年についての文章で出会っています。その1年後に通教部に入学し、それ以来ずっと文校に在籍しています。現在は、飯田未和クラス。年4回ある通教部スクーリングにもよく出席されています。今年3月のスクーリングにおける“交流会”では、乾杯の音頭を取ってもらいました。【下の写真】で右端のオレンジ色のセーター姿が藤田さん。
上下2段組344頁からなる短編小説集<濃州ものがたり>は、18編の家族史や私小説的なもので構成されています。
次に、短編小説集の「はじめに」の結末部分を引用します。
【文校で小説を書き始めて十九年。書いた作品は七十作程になる。今回私家版を作るに当たって自分なりに候補作を選んでみたが、どれも帯に短し襷に長しで迷った。しかし最終的にはやはり文校のチューターが評価してくれた『樹林』掲載作品が大半を占めることになった。
作品は何度書いても相変わらず納得出来るものは無い。しかし書くことだけは止められない。論語に曰く、「之(これ)を知る者は、之を好む者に如(し)かず。之を好む者は、之を楽しむ者に如かず」で、今やぼくは小説を書くことを楽しみにしている。】
(小原)
《明石市文芸祭》作品募集!! ★〔一般部門〕の<小説>で佐伯敏光・文校昼間部チューター、<随筆>で島田勢津子・昼間部チューターと岩代明子・元文校チューターが選者を務める。
平安女学院大学・国際観光学部主催《アグネス詩人賞》 ★平居謙・文校通教部チューター<平安女学院大学教授>が企画を担当し、細見和之・文校校長は審査員を務める。
昨夕(7/17)の朝日新聞・・・木下昌輝さん(大阪文学学校修了生)の新刊長編『愚道一休』(集英社)が大きく取り上げられる!
●木下昌輝さんは、『宇喜多の捨て嫁』(文藝春秋)、『敵の名は、宮本武蔵』(KADOKAWA)、『宇喜多の楽土』(文藝春秋)と今までに3度、直木賞候補。
2010年10月から大阪文学学校夜間部に3年半在籍。文校在籍中の12年、「宇喜多の捨て嫁」で第92回オール讀物新人賞を受賞。
6月14日・文校ブログ参照。
7月5日・文校ブログ参照。
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■11/16(土)大阪市北区のサンケイホールブリーゼで、大阪では実に66年ぶりの【文士劇】旗揚げ公演がおこなわれます。木下昌輝さん、朝井まかてさんも舞台に立ちます。チケット販売は9月1日(日)。
5月31日・文校ブログ参照。
(小原)
祝★方政雄さん(大阪文学学校修了生)、第1回アスベストセンター賞《文芸部門》を受賞。小説集『白い木槿』に収録されている「光る細い刺」で。
【上の記事は、7/17毎日新聞・朝刊の<兵庫版>のものですが、同日の<大阪版>、<東京都内版>、<福岡版>にも類似の記事が載っています】
兵庫県伊丹市の方政雄(パン・ジョンウン)さんは、2015年4月に大阪文学学校昼間部に入学し、休学を挟みながら24年3月まで9年間在籍されています。
その9年間に、2017年「大阪文学学校賞(小説部門)・奨励賞<第3席>」、2018年「部落解放文学賞(小説部門)」、2021年「大阪文学学校賞(小説部門)・佳作<第2席>」、2022年「労働者文学賞」、同年「さきがけ文学賞」《賞金50万円》を受賞しています。
また小説集は、『白い木槿(むくげ)』<新幹社>、『ボクらの叛乱』<兵庫県在日外国人教育研究協議会>、『草むらの小屋』<新幹社>と3冊出しています。
この度、アスベストセンター賞《賞金40万円》を受賞した作品「光る細い刺」は、『白い木槿』に収められていたものです。
“選評”が、主催者・アスベストセンターの次のウェブサイトに載っています。https://asbestos-center.jp/awards/
●「光る細い刺」の【選評】●
クボタショックの前史とその後に関係者にふりかかる悲劇が、どちらも具体性を持った物語として描かれ、迫力がある。一人の少年が成長していく視点を通して、その時代時代の尼崎の土地の様子が見事に描写されていた。
比喩表現も秀逸である。自然の風物や背景がしっかりと書き込まれていて、文章表現の巧さが小説としての味わいを生んでいる。
五感を活かした表現の中に、主人公が病に倒れながらも、前向きに生きようとする姿勢が読後感の良さに繋がった。アスベストのテーマだけではない、豊かな文学性を持った優秀な作品である。
◎今までに、方さんの『白い木槿』を取り上げている新聞は次のとおり。
【2022/5/2神戸新聞】2022年5月7日・文校ブログ参照。
【2022/4/22毎日新聞】2022年4月26日・文校ブログ参照。
(小原)